カスタマーエンジニアの仕事内容って?求められるスキルについても解説

お役立ちコラム

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

ITシステムや機器の導入からトラブル対応、保守まで ― 顧客の「困った」を直接支える裏方的な存在として活躍するのが「カスタマーエンジニア」です。営業や開発とは異なる立ち位置で、顧客先に入り、機器の設置やメンテナンス、問題解決を行うこの職種は、技術力だけでなく臨機応変な対応力とコミュニケーション力も求められます。本記事では、カスタマーエンジニアの典型的な仕事内容から、求められるスキル、働き方の実際まで幅広く解説します。

カスタマーエンジニアとは何か

顧客現場で技術とサポートを担う専門職

カスタマーエンジニアは企業や組織が利用するIT機器やシステムの導入・保守・トラブル対応を主な業務とするエンジニアです。サーバー、ネットワーク機器、複合機、PC、業務用端末などを取り扱い、顧客先での設定、設置、運用支援を行います。ソフトウェアのインストールや設定、 OS 更新、ネットワーク接続設定、さらにはハードウェアの設置や配線、部品交換まで ― 導入から運用、保守まで幅広く携わるのが特徴です。

この職種は、開発や設計を担当する「システムエンジニア」や「インフラエンジニア」とは異なり、「既存のシステムを動かし続ける」「現場で困っている人を救う」という実践性と即応性が重要な役割となります。顧客に最も近い立場で対応するため、技術力だけでなく、顧客対応力や現場判断力が強く問われる点が、カスタマーエンジニアならではの特徴です。


カスタマーエンジニアの主な仕事内容

カスタマーエンジニアの業務内容は広範ですが、おおよそ次のような分類ができます。

業務内容具体的な作業内容
導入支援機器の設置、ネットワーク接続、初期設定、ソフトウェア導入、ユーザー教育
保守・定期点検サーバーや端末のメンテナンス、ファームウェア/ソフトウェアの更新、ログチェック、消耗品交換
トラブル対応・復旧故障対応、故障原因の切り分け、部品交換、設定修正、迅速な復旧作業
顧客サポート・提案運用相談、改善提案、機器更新の提案、操作説明やサポート対応

導入支援と設定

新規でシステムや機器を導入する際、カスタマーエンジニアは設置場所の調整や配線、初期設定、それに伴うネットワーク構成からソフトウェアのインストールまで一貫して担当します。さらに、利用者向けの操作説明やマニュアル提供など、導入後のスムーズな運用開始を支援する役割も担います。

トラブル対応と安定運用のための保守

システム障害、機器の故障、ソフトウェアの不具合など、突発的なトラブルが起きた場合、カスタマーエンジニアは現場に駆けつけ、原因を特定して復旧作業を行います。また、再発防止のためのログ確認や設定見直し、部品交換、定期点検といったメンテナンス業務を通じて、システムの安定稼働を維持します。


カスタマーエンジニアに求められるスキル

この職種で活躍するためには、技術的な知識だけでなく、対人能力や問題解決力も不可欠です。以下は特に重要なスキルです。

  • 技術知識とハードウェアの理解
    サーバー、ネットワーク、PC、周辺機器などを扱うため、機器構成、ネットワーク、OS、ソフトウェアなどに関する幅広い知識が必要です。また、配線作業や機器設置などハードウェアの扱いに慣れていることも求められます。
  • トラブル発生時の対応力と判断力
    正常動作時はもちろん、故障や不具合に直面したときに迅速かつ冷静に原因を切り分け、適切な復旧手段を判断できる能力が重要です。マニュアル通りでない事象にも対応できる柔軟性と応用力が求められます。
  • コミュニケーション能力と顧客対応力
    顧客先で仕事をする機会が多いため、技術的な内容を分かりやすく説明したり、顧客の要望や不安に寄り添って対応するためのヒアリング力、礼儀、信頼感を持った対応が必要です。
  • 継続的な学習姿勢
    IT 技術や機器は常に進化しているため、新しいハードウェア、OS、ソフトウェア、セキュリティ情報などを学び続ける姿勢が求められます。

カスタマーエンジニアの働き方とメリット・課題

多様な働き方と環境

カスタマーエンジニアの働き方は、所属企業や担当する顧客によってさまざまです。顧客先に常駐して安定的にサポートを行う「常駐型」、複数の顧客を巡回する「訪問型」、そしてリモートでサポートを行う「遠隔支援型」などがあります。最近ではリモート診断やオンラインヘルプの普及により、遠隔対応が増えてきており、働き方の幅が広がっています。

メリット — 顧客に直接貢献できる実感と多様な技術経験

顧客の困りごとを直接解決でき、感謝される機会が多いのが大きなやりがいです。また、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、OS など多様な技術領域に触れられるため、技術の幅が広がるのも魅力です。

課題 — 不定期の対応や心身の負担

システム障害やトラブルは昼夜を問わず発生する可能性があるため、夜間や休日の対応を求められることがあります。また、現場での作業や顧客対応で精神的・体力的な負荷を感じることもあるため、勤務形態やライフワークバランスの面で注意が必要です。


カスタマーエンジニアを目指すには

カスタマーエンジニアを志す場合、次のような準備が効果的です。

  • IT または電子・電気関連の知識・資格を取得する(ネットワーク、OS、ハードウェアなど)
  • 機器の組み立てや配線、PC 設定など、実践的な環境で経験を積む
  • コミュニケーション力や顧客対応の経験を重ね、サポート力を養う

既存のITエンジニア、インフラエンジニア、技術サポート職などからの転向も一般的で、実務経験やスキルを活かしやすい職種といえます。


まとめ

カスタマーエンジニアは、顧客の現場でシステムや機器の導入・保守・トラブル対応を担う、いわば「現場の守り手」です。技術力・対応力・コミュニケーション力が求められる一方で、顧客の困りごとを直接解決し感謝される満足感、幅広い技術領域に触れられる成長機会が大きな魅力です。

IT システムの導入がますます広がる現在、その必要性は高まる一方。もし「人の役に立ちたい」「手を動かして結果を出したい」「幅広い技術に触れたい」と考えるなら、カスタマーエンジニアは有力なキャリアの選択肢となるでしょう。

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