エンジニアの残業時間はどのくらい?

お役立ちコラム

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

「エンジニア=残業が多い」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際には企業や職種、開発フェーズによって残業時間には大きな差があります。本記事では、ITエンジニアの平均的な残業時間の実態を踏まえつつ、職種ごとの違いや残業が発生しやすい要因、残業を減らすための工夫について詳しく解説します。

エンジニアの平均残業時間とは

月20時間前後が全体的な平均ライン

エンジニア全体の平均的な残業時間は、おおよそ月20時間程度とされています。これは1日あたり約1時間に相当します。ただし、この数値は企業規模や業務内容、繁忙期か否かによって大きく変動するため、あくまで目安として考える必要があります。

また、ベンチャー企業や受託開発会社、納期に追われるプロジェクトでは、月40時間を超えることも珍しくありません。一方で、ワークライフバランスを重視する企業や自社開発の現場では、残業がほとんどないケースも増えてきています。


職種別の残業時間の違い

業務内容や責任範囲によって差が出る傾向にある

エンジニアと一口に言っても、担当する職種によって残業時間には違いがあります。以下の表に、主なエンジニア職種と想定される平均残業時間の例をまとめました。

職種平均残業時間(目安)残業が発生しやすいタイミング
プログラマー約20〜30時間リリース直前、バグ修正時
システムエンジニア約25〜35時間要件変更、スケジュール遅延時
インフラエンジニア約15〜25時間障害対応、深夜対応時
フロントエンドエンジニア約10〜20時間デザイン変更、動作検証時
データエンジニア約10〜15時間分析締切前、データ集計時

このように、業務内容の性質やスケジュールの組み方によって、残業時間には職種ごとの傾向が見られます。


残業が発生しやすい状況とは

納期やトラブル対応が主な要因に

エンジニアの現場で残業が発生しやすいのは、以下のような状況が多く見受けられます。

まず挙げられるのが、納期前の追い込みです。特に、開発スケジュールがタイトなプロジェクトでは、リリース直前に急激に作業量が増加することがあります。

次に、設計ミスや仕様変更による手戻り対応が残業を招く要因となります。顧客からのフィードバックや追加要望によって開発計画が変わると、短期間での修正対応を迫られることが多くなります。

また、インフラやネットワークに関するトラブル対応は夜間や休日に発生することもあり、突発的な残業の原因になることもあります。


残業が少ない職場の特徴とは

工程管理や労務体制の整備がカギを握る

残業の多さは必ずしも職種だけで決まるわけではありません。以下のような特徴を持つ職場では、比較的残業が少なく抑えられる傾向があります。

たとえば、自社プロダクトを持ち、納期に柔軟性がある企業では、作業のスケジューリングに余裕があり、残業が発生しにくい環境が整っています。さらに、アジャイル開発などの手法を取り入れており、継続的に改善を行う文化がある企業も、工数管理が徹底されているため残業が減少する傾向にあります。

労務管理の意識が高い企業では、勤務時間のモニタリングや勤怠報告の徹底が進んでおり、過剰な労働を未然に防ぐ仕組みが導入されています。


エンジニアの残業に対する考え方の変化

「長時間労働=頑張っている」は過去の話に

かつては、長時間働くことが評価される文化もありましたが、現在では「効率よく働くこと」が重視されるようになっています。特にIT業界では、生産性と働きやすさを両立させる動きが加速しており、残業の削減を明確な方針として掲げる企業も増えています。

テレワークやフレックスタイム制度の導入も進み、働く場所や時間にとらわれずに成果を上げる働き方が広がっています。今後は、残業を前提としない働き方を志向する人が、より重要なポジションで活躍する可能性が高まるといえるでしょう。


残業を減らすためにできる工夫

個人レベルでも取り組める改善策は多い

残業を減らすためには、企業の体制だけでなく、個人の働き方にも見直しが必要です。

たとえば、業務開始前にその日のタスクを明確にし、優先順位をつけて取り組むことで、無駄な作業や迷いが減少します。また、コードレビューやコミュニケーションの頻度を意識的に増やすことで、後工程でのトラブルを防ぎ、修正時間の削減につながります。

さらに、自分の業務に必要なスキルを磨くことで、タスク処理スピードを向上させ、自然と残業時間が短くなることも期待できます。


まとめ

エンジニアの残業時間は、職種や企業風土、開発スタイルによって大きく異なります。必ずしもすべてのエンジニアが長時間労働を強いられているわけではなく、働き方の多様化に伴い、残業が少ない職場も増えてきています。

自分のキャリアや生活スタイルに合った働き方を実現するためには、残業の実態を知り、環境選びと自己管理の工夫を行うことが重要です。エンジニアとして長く健全に働き続けるために、時間の使い方に対する意識を高めていきましょう。

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