システムエンジニアでつらいことは何か?5つの原因と対処法を徹底整理

お役立ちコラム

監修者・竹村 直浩

会計事務所での経験を基にキャリアを開始。
約30年間にわたり、データベースマーケティング、金融、起業、BPO業務、新規事業立案に従事。
資金調達や財務管理にも精通し、現在は自ら代表を務める会社を経営しながら、経営管理や新規事業立案の業務委託も請け負う。

システムエンジニアという職種に対して、「将来性がある」「専門性が高い」といったポジティブなイメージを抱く人も多い一方、実際に働く中では「つらい」「きつい」と感じる場面も少なくありません。本記事では、現場の声をもとに、システムエンジニアが直面する代表的な「つらさ」と、その具体的な乗り越え方をわかりやすく解説します。これからSEを目指す人も、現在SEとして働いている人も、キャリアを見直す一助になるでしょう。

システムエンジニアの仕事とは何か

システムエンジニア(SE)は、企業の基幹業務や顧客サービスの効率化を目的に、ITシステムの構築・保守を担う職種です。業務はシステムの要件定義から設計、開発、テスト、運用・保守まで多岐にわたり、プロジェクトの成功を左右する重要なポジションです。単にソフトウェアを作る技術者というより、クライアントと現場エンジニアをつなぐ調整役でもあります。そのため、技術力だけでなく論理性、業務理解力、対話能力も不可欠です。これらの負荷が積み重なることで、やりがいの反面、精神的・身体的に「きつい」と感じる要因となるのです。


長時間労働と納期プレッシャーによる過重負担

IT業界において「納期」は最重要項目です。そのため、仕様変更やトラブルが発生すると、その遅れを取り戻すためにSEが長時間勤務を余儀なくされることも少なくありません。さらに、休日出勤や夜間対応なども発生しやすく、生活リズムの乱れが健康に悪影響を及ぼすこともあります。

以下にSEが経験する課題とその対策を整理します。

課題内容詳細解決への対応策
残業・休日出勤が多い納期に追われるため、長時間労働が常態化タスク管理とリスク計画を明確にする
短納期プロジェクトが多い要件変更が頻発し、スケジュールが逼迫開発前の合意形成、WBS管理を徹底
労働環境が整備されていない業務の属人化により負担が偏るチームでの情報共有と業務分散の徹底

解決のためには、企業全体での働き方改革が必要です。最近では、フレックスタイムやリモートワークの導入など、労働環境の改善が進んでいます。ツールを活用した工程管理の徹底や、業務の可視化により作業の属人化を防ぐことも効果的です。


クライアントとの調整ストレスとその対策

SEは顧客との橋渡し役であるため、仕様調整や問題対応が日常業務に含まれます。顧客からの要望が曖昧だったり、開発途中で変更が加わったりすると、プロジェクトの進行に大きく影響を及ぼします。また、現場エンジニアとクライアントの認識のズレもストレスの要因となります。

問題点結果改善方法
要件定義の曖昧さ誤解や手戻りによる工数増文書化・確認プロセスの導入
顧客との認識の不一致進捗の遅れ、トラブルへの発展打合せ記録・承認プロセスの明文化
突発的な仕様変更スケジュール崩壊変更管理ルールの設定

ストレスを軽減するためには、顧客との合意形成が極めて重要です。要件定義は必ず文書化し、双方の合意を取り付けること、また会議後の議事録を必ず共有することで、後のトラブルを防ぐことができます。


技術進化への追随とプレッシャー

IT技術は日々進化しており、新しい言語やクラウド、セキュリティ技術、AIなどが次々に登場します。これに追いつくため、SEは業務外でも学習を続けなければならないという圧力を感じる場面が多くあります。特に20代後半から30代のSEは、仕事と勉強の両立が難しいという声が多く、離職の一因ともなっています。

このような課題と解決策は以下の通りです。

課題状況解決策
自己学習へのプレッシャー常に新技術の習得が求められる学習時間の制度化、研修制度の充実
時間確保の難しさ業務時間外での学習が前提になる業務内研修や資格取得支援制度の導入
技術の流行廃りが激しい一度習得してもすぐ陳腐化専門領域を持ちつつ幅広い知識習得が必要

企業としては、技術研修や資格取得支援を行い、社員が業務内で成長できる仕組みを構築することが不可欠です。特に研修受講時間を業務時間に含める仕組みが重要です。


キャリアの先行き不安とその克服法

SEのキャリアパスは多様ですが、逆に「どの方向に進むべきかわからない」という不安を感じる要因にもなっています。例えば、技術職を極めるのか、マネージャーへ進むのか、自分に合った道を見つけられずに転職を繰り返すケースもあります。

不安内容背景解消方法
将来像が見えないキャリアモデルが不透明ロールモデルの明示、キャリア相談制度
管理職への転向への抵抗技術志向の強い人材との適性ミスマッチスペシャリストとマネジメントの分岐明確化
年齢を重ねた後の不安年齢による求人減少シニアSE向け研修や再教育の仕組み整備

これらの課題に対し、企業側では定期的なキャリア面談を実施し、社員が自身の適性に合ったキャリアを選べるようサポートすべきです。また、社内外でロールモデルとなる人材の紹介も有効です。


まとめ

システムエンジニアは、幅広いスキルと責任を要求される職種です。業務の負荷や環境変化の激しさから「つらい」と感じることも少なくありませんが、その背景を明らかにし、適切な対策を講じることで大きく改善が可能です。働き方や教育体制の整備により、エンジニアが自信を持ってキャリアを歩むための基盤が整えば、業界全体の生産性と満足度の向上につながるでしょう。

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